住宅ローンで投資してもローン控除を受けられる?

当サイトでは、通常ならば不可能とされている、住宅ローンによる不動産投資の方法を解説しています。

住宅ローンで不動産投資を始めるメリットには色々なものがありますが、中でも住宅ローン特有の節税メリットには注目すべきでしょう。

本稿では、住宅ローンで不動産投資を始めることにより、住宅ローン控除が利用できるメリットを解説していきます。

住宅ローン控除のメリット

収益用不動産を購入して不動産投資を始める際には、アパートローンによって融資を受けるのが普通です。

そこをあえて住宅ローンに変えることによって、金利が安くなる、借入期間が長くなる、借りやすくなるなど、色々なメリットがあります。

 

住宅ローンを使うメリットについての関連記事

 

これらに加えて、大きなメリットとして知っておきたいのが、住宅ローン控除という制度です。

これは、住宅ローンを利用している人が受けられる税額控除であり、大きな節税効果が得られます。

 

住宅ローン控除は節税効果が高い

控除とは、給料やボーナスから支払うべき金額から差し引くことで、納税額を減らせる仕組みのことです。

通常、サラリーマンなどの給与所得者は、給料の中から差し引いて税金を納めているのですが、控除を受けられる人は年末調整の手続きをすることで、払いすぎた税金を返還してもらうことができます。

控除の種類としては、医療費や生命保険を控除するための「所得控除」がよく知られていますが、住宅ローン控除は「税額控除」にあたります。

所得控除では、控除額に課税額をかけたものが還付額となります。

例えば、10万円の所得控除があり税率が20%の場合には、2万円が還付されることになります。

これに対して、住宅ローンは税額控除であり、税額控除は「控除額=還付額」となっています。

10万円の控除であれば、その10万円がすべて還付されるため、節税効果が非常に高いのです。

 

住宅ローン控除のポイント

住宅ローン控除の仕組みを知るには、以下の3点を押さえてください。

それは、

 

  • 年末のローン残高の1%が控除額となる
  • 控除額の上限は原則的に40万円
  • 控除を受けられるのは10年間

 

ということです。

住宅ローンの返済を続けていくうちに、ローン残高は年々減っていきます。

したがって、控除額も年々減っていくことになりますが、それでも10年間にわたって控除を続けると、かなりまとまった節税メリットが得られます。

 

住宅ローン控除の具体例

住宅ローンで不動産投資を始めて、住宅ローン控除を活用した場合の節税メリットを、具体的な数字で見てみましょう。

物件の購入価格が3000万円、諸費用は(7%と見積もって)210万円、オーバーローンで3210万円を住宅ローンで借入れ、金利は1.4%、返済期間は35年と設定します。

この場合、1年目のローン残高は3138万3000円です。

控除額はローン残高の1%にあたる31万3830円となり、控除の上限である40万円以下ですから全額を控除することができます。

返済を続けながら、ローン残高と控除額は徐々に目減りしていき、10年目のローン残高は2446万1009円、控除額は24万4610円となります。

10年間での控除額の合計は279万8614円となります。

借入総額は3210万円であり、35年後に返済が完了した時点での支払利息の総額は872万3990円、元本と合わせた全体での支払総額は約4082万円となります。

10年間の住宅ローン控除は約280万円ですから、これによって支払総額の7%弱を節約できるというメリットがあるのです。

 

真壁
真壁
住宅ローン控除を受けるには、住民票を購入物件から移動できません。住民票を置いている住所には様々な郵便物が届きますので、物件の入居者によって郵便物を管理会社に転送、そして持ち主に渡すなど、特殊な対応が必要です。その辺はご相談ください。

 

アパートローンと比較してみる

住宅ローンで不動産投資を始めると、以上のようなメリットを得ることができます。

多くの人が、住宅ローンではなくアパートローンによって不動産投資を始めていますが、その場合と比較してみると、住宅ローンのメリットが良くわかります。

アパートローンで不動産投資を始めたとき、あくまでも収益用不動産を購入して、不動産賃貸業をやっているとみなされます。

このため、住宅ローン控除のような特別な控除を受けることはできません。

さらに、金利が非常に高いことや、返済期間は建物の法定耐用年数に準拠するため、返済負担が大きくなりがちなこと、自己資金が必要となることなど、色々なハードルがあります。

これらのハードルを乗り越えて、アパートローンを利用した場合を考えてみましょう。

住宅ローンの例と同じく、物件価格は3000万円としますが、3割にあたる900万円と諸費用の210万円は自己資金で賄い、2100万円をアパートローンで借入れ、金利は3%、返済期間は20年とします。

この場合、20年後に全ての返済を終えたとき、支払った利息の総額は約723万円、元本返済と合わせた全体の支払総額は2823万円となります。

 

住宅ローンのほうが優れている

この結果から、不動産投資を始めるにあたり、住宅ローンとアパートローンのどちらを利用すべきであるかは明らかでしょう。

アパートローンを利用する場合、たくさんの自己資金を用意して、厳しい審査を受けて融資にこぎつけるというハードルをクリアする必要があります。

しかし、それをクリアしたからといって、投資効率が高まるというわけではありません。

元金が少ない分支払利息が少なくて済むと言っても、住宅ローンの場合と150万円程度しか変わらないのです。

一方、住宅ローンを組んで不動産投資を始めるならば、物件価格に諸費用分をプラスしたオーバーローンを組むことも可能ですし、審査にも通る可能性が高いです。

支払利息の合計額はやや大きくなりますが、これは長期返済が可能という住宅ローンのメリットによるものですし、住宅ローン控除によって十分に回収することができます。

このように比較してみると、金利、返済期間(返済負担)、借りやすさといったメリットだけではなく、住宅ローン控除というメリットが加わることによって、住宅ローンに軍配が上がることは疑いがないでしょう。

 

まとめ

住宅ローンによって不動産投資を始めることによって、アパートローンで取り組むよりも、はるかに多くのメリットが得られます。

その中の一つである「住宅ローン控除」は、数十万円のまとまった還付を受けられる大変魅力的な制度であり、住宅ローンで借り入れてこそ受けられるメリットです。

ただし、購入物件から住民票を移動することができませんから、郵送物を入居者に転送してもらうなどの協力体制が不可欠になります。